研究概要 |
1.上皮性Na^+チャネル(ENaC)の分布局在 Xenopusのkidney A6 cell lineのENaC α-subunitのペプチドに対して作った抗体はヒキガエル(Bufo alvarius, Bufo punctatus)皮膚の顆粒層の第一層の細胞と反応し、その頂上側の細胞膜が標識された。ウシガエル(Rana)の皮膚でクローニングされたENaC(f-ENaC)のα-subunitに対する抗体はRanaとXenopusの皮膚において、顆粒層の第一層にある細胞を標識した。 2.水チャネル(AQP)の分布局在 アマガエル(Hyla japonica)の皮膚からクローニングされた水チャネルAQP-h2に対する抗体を用いた。Bufoの全身の皮膚でのAQPの存在をウエスタンブロットで調べると、下腹部の皮膚においてB.alvariusでは30kDのバンドとして、B.punctatusでは31kDのバンドとして検出された。しかし、胸部と背側皮膚には検出されず、ヒキガエルが腹部皮膚から水分吸収をするという動物行動と一致する。免疫組織化学法で調べるとAQPは下腹部皮膚の角質層直下の顆粒層に分布し、その細胞の頂部(B.alvarius)や外側基底部(B.punctatus)の膜上にあった。腹側皮膚を切り出し、抗利尿ホルモンであるアルギニンバソトシン(AVT,10^<-8>M)で20分間刺激すると、AQP-h2に対する抗体反応はB.alvariusでは皮膚の顆粒層細胞の頂部で強くなった。ここの細胞膜にはNa+チャネルが分布しているので、ヒキガエルが皮膚を介しての水分吸収行動をしているときに、高濃度のナトリウムに遭遇すると、これが流入して危険信号として作用することが説明される。
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