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2004 年度 実績報告書

ザリガニ逃避行動馴化におけるLG再抑圧の神経機構

研究課題

研究課題/領域番号 15570060
研究機関北海道大学

研究代表者

長山 俊樹  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80218031)

キーワードアメリカザリガニ / 逃避行動 / 学習 / 記憶 / 中枢神経系 / ニューロン / オクトパミン / セロトニン
研究概要

ザリガニは尾部への強い接触刺激に対し、巨大ニューロンLateral Giant (LG)を介したテイル・フィリップを示すが、繰り返し刺激を与えると、馴化を起こして、LGは発火しなくなり、テイル・フィリップも起こらなくなる。ザリガニは一旦馴化から回復するが、すぐにLGの興奮性が低下し、再抑圧がかかるようになる。この逃避行動の発現、及び、馴化成立・維持にはセロトニン・オクトパミンといった生体アミンが神経修飾作用を持っているらしいことを前年度明らかにし、今年度はセロトニン・オクトパミンの役割、その作用機序について電気生理学的・薬理学的手法を用い詳細に解析した結果、
1)セロトニン・オクトパミンを灌流しながら、繰り返し刺激を与えると、コントロールに比べ馴化が成立するのに統計学的に有意に多い刺激試行回数が必要であった。細胞内セカンドメッセンジャーであるサイクリックAMP,サイクリックGMPを同様に灌流したところ、サイクリックAMPのみがセロトニン・オクトパミン同様の馴化率の低下が観察された。
2)サイクリックAMPは細胞内でアデニル酸シクラーゼの触媒によってATPから合成される。そこでアデニル酸シクラーゼの阻害薬であるSQ22536を前もって灌流しておいた標本にセロトニン・オクトパミンを投入し、馴化曲線を描いたところ、オクトパミンの場合はSQ22536非存在下の場合と同様に馴化率はコントロールに比べ低下したのに対し、セロトニンの効果はSQ22536存在下で有意に弱くなり、ほぼコントロールと同様の馴化曲線を示した。
3)細胞内記録法により、感覚刺激に対するLGの応答性にセロトニン・オクトパミンがどのような影響を持つか解析したところ、EPSPの振幅が感覚ニューロンからのダイレクトなシナプス接続によって形成されるα、α'成分、感覚性介在ニューロン経由でインダイレクトに形成されるβ成分両方とも大きくなっていることがわかった。セロトニンによるEPSP振幅の増大はSQ22536存在下ではまったく見られなくなり、オクトパミンの効果には変化が見られず、セロトニンの効果がLG内サイクリックAMP濃度増加を伴うものであることがわかった。オクトパミンは恐らくIP_3系を駆動し、細胞内カルシウム濃度の動態が馴化後のLG再抑圧に関連していることが本実験を通して強く示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] GABAergic and glutamatergic inhibition of the nonspiking local interneurones in the terminal abdominal ganglion of the crayfish2005

    • 著者名/発表者名
      Nagayama T.
    • 雑誌名

      J.Exp.Zool. 303A

      ページ: 66-75

  • [雑誌論文] Decrease in excitability of LG following habituation of the crayfish escape reaction.2005

    • 著者名/発表者名
      Araki M., Nagayama T.
    • 雑誌名

      J.Comp.Physiol.A (in press)

  • [雑誌論文] Effects of nitric oxide on proprioceptive signaling2004

    • 著者名/発表者名
      Schuppe H. et al.
    • 雑誌名

      Zool.Sci. 21

      ページ: 1-5

  • [雑誌論文] Nitric oxide modulates local reflexes of the tailfan of the crayfish2004

    • 著者名/発表者名
      Araki M. et al.
    • 雑誌名

      J.Neurobiol. 60

      ページ: 176-186

  • [雑誌論文] Distribution of glutamatergic immunoreactive neurons in the terminal abdominal ganglion of the crayfish.2004

    • 著者名/発表者名
      Nagayama T. et al.
    • 雑誌名

      J.Comp.Neurol. 474

      ページ: 123-135

  • [雑誌論文] Synaptic interactions between nonspiking local interneurones in the terminal abdominal ganglion of the crayfish.2004

    • 著者名/発表者名
      Namba H., Nagayama T.
    • 雑誌名

      J.Comp.Physiol.A 190

      ページ: 615-622

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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