研究課題/領域番号 |
15570068
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
宮本 武典 日本女子大学, 理学部, 助教授 (10167679)
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研究分担者 |
木本 万里 日本女子大学, 家政学部, 講師 (60101565)
藤田 尚子 日本女子大学, 理学部, 助手 (10207293)
馬場 友巳 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60189727)
宮崎 敏博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10174161)
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キーワード | プロポフォール / 条件付け / 獲得 / 消去 / cFOS / 免疫組織化学 / 味覚伝導路 / 扁桃体外側核 |
研究概要 |
前年度までにラットにおいて静脈麻酔薬のであるプロポフォールやミダゾラムが全身麻酔に至らない低濃度(鎮静量)によって味覚嫌悪記憶(CTAM)の消去を著しく促進すること、この作用が低濃度域で指摘濃度を示すこと、プロポフォールはCTAの獲得には影響せず、消去にのみ増強効果があることを示した。更に、プロポフォールの麻酔効果を減弱させることが報告されているアドレナリン作動性シナプスにおけるα_2受容体の遮断剤であるヨヒンビンは、むしろプロポフォールと同様あるいはそれ以上の効果を示した。このことはプロポフォールのCTAMの消去に対する増強効果が麻酔作用とは異なる作用点または作用部位を持つこと、そして、作用点または作用部位にはアドレナリン作動性シナプスおよびα_2受容体が密接に関係していることを示唆する。 本年度はラットで得られた上記の結果がマウスでも同様に生じることを確認した。このことはラットとマウスの情動記憶系がプロポフォールに対する共通の感受性部位を有することを示唆する。プロポフォールの作用部位を同定するために、神経の活動性のマーカー分子であるcFos蛋白の免疫組織化学的研究法を用いて、プロポフォールの作用点を検討した。CTA獲得1時間後に脳血管灌流法により脳を固定し、味覚の2次中枢である結合腕傍核、視床前核群、扁桃体および大脳皮質味覚野(島皮質)でcFos陽性細胞数をプロポフォール投与群と対照群(生食投与群)とで比較した。その結果、どの部位でも統計的に有意な相違は見られなかったが、味覚と嫌悪感の連合部位である扁桃体外側核ではcFos陽性細胞数が増加する傾向が見られた。このことは、プロポフォールが味覚伝導路や意識や注意に関与する上行性賦活系ではなく、味覚と嫌悪感の連合部位に直接作用することを示唆する。
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