本年度は、主に必要なソフトの開発を行った。動物の行動をディジタルビデオで撮影し、それをIEEE1394(商品名ファイアワイアー、iLink)パソコンに取り込む。取り込んだビデオ映像をビデオレートの30 frames/secのシークエンシャル画像に変換する。ここまではパソコン添付のソフト(iMovieアップル社製パソコン)や市販のソフト(Premiere、Windowsパソコンで行う場合)で可能であるが、かなり負荷をかけ、また出力量も膨大な作業なので、高速のコンピュータが必要である。こうして得られたシークエンシャル画像を1枚1枚解析して、目的画像に関する情報を自動的に数値化する。これは市販のソフトでは適当なものはないので、開発した。花井は以前よりLinux上で動かすヒドラの行動解析のためのソフトglana (v 1.0.3)をC言語で開発していたので、これをさらに改良してアリの行動解析にも使えるようにした。ヒドラ画像の場合は、黒い背景に白いヒドラがの画像で、そこからヒドラ部分のみを効率よく抽出するアルゴリズムは開発済みであった。アリの場合は、ディッシュの中でテストするので、白い背景の中のディッシュの中で黒いアリが動き回る。アリのみの画像に関する数値データを取るためには、背景の中のディッシュ画像を自動的に効率よく消去する必要がある。これらの目的のために、これまでのglanaを基盤にして開発することを試み、入力画像は白黒反転させる、アリは動き回るが、背景は動かないことを利用して背景のディッシュ画像を消去するアルゴリズムを考案し、プログラム化した。この結果、まだ幾分か問題は残るが、おおむね目的を達することが出来るもの(v 1.0.8)を作成できた。これを利用して、アリが同巣や異巣の環境を動き回るときの様子を調べてみた。すると、アリの動きをフラクタル解析すると、これらの環境によって歩行の様子が変化することを示すことが出来た。
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