研究課題
基盤研究(C)
散在神経系の構造(神経解剖学):私達のヒドラ・ペプチド・プロジェクトにより沢山の神経ペプチドカが同定された。これらの抗体を用いて、定性的および定量的化学解剖学を詳細に行った。更には、沢山の同属体からなるペプチドファミリーについて、それぞれのメンバーに特異的な抗体の作製に成功し、各メンバーの空間分布は異なることが判明し、ファミリー集団内の詳細な解剖図が作製できた。また、ヒドラの内胚葉の神経網は、外肺葉の神経網とはペプチドの発現に関してまったく異なることも判明した。これは、単純な散在神経系と言えども、各胚葉に特異神経系がすでに分化していることを示している。散在神経系の機能(神経生理学、行動生理学):ヒドラの散在神経系は、高等動物では中枢神経系で行われる機能を(ここでは中枢機能と呼ぶ)持つことを私達は実証してきた。また、私達が中枢神経系の原型ではないかと仮説しているヒドラの頭部に見られる神経環の機能力をひとつ判明した。それは、全ての触手を同調して動かす行動であった。クラゲなどでも神経環は、電気的に結合した巨大軸索的な機能と、化学シナプスによる情報統合の機能の2つが考えられていて、今回の場合は、前者にあたるものであった。後者の機能についての解明が待たれる。更に、ヒドラの散在神経系は、哺乳類などで知られている消化管の消化運動(食道反射、ぜんどう運動、脱糞反射)と同じ運動を示し、腸管神経系と散在神経系の構造的、機能的類似点が明らかになった。散在神経系の形成(発生神経生物学):神経細胞分化の分子機構に関して、私達はヒドラの神経分化を促進する神経ペプチドと抑制する上皮ペプチドファミリーを同定している。これらのペプチド分子の作用機構について、これらのペプチド分子は、幹細胞の神経細胞分化の決定(それに続く神経前駆細胞の形成)に効くことが判明した。すなわち、幹細胞の最初の運命決定の過程に作用するという非常に興味深い結果であった。この分子メカニズムの解明が次の課題である。
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