研究課題
基盤研究(C)
中心珪藻のMelosira varians, M.nummuloides, Biddlphia auritaおよびFragilaria sp.の被殻内に含有される有機物質の抽出方法の最適条件を検討し、その結果に基づき被殻内物質の抽出を行った。SDS-PAGEの結果、Merosira2種にはsilaffinの存在が認められず、3.5KDa以下にのみCBBで染色された認められた。一方Biddlphiaでは31〜36.5KDaを中心として前後に広がるバンドと3.5KDa以下にバンドが認められた。Fragilariaでは得られたバンドが薄く、さらなる実験が必要である。Melosiraで得られた物質の活性試験では、瞬時に沈殿を生じたが、EDSの分析結果ではそれがSiとOを含有するものであることが明らかとなった。この沈殿は球形をしており、Melosira2種では直径が異なったが、リン酸溶液を加えると、そのサイズは25〜400nmまで変化した。HPLCにより逆相カラムを用いて精製を行った結果、ニンヒドリン反応が著しいフラクションと、呈色されないフラクションに分けることができた。合成ポリアミンを用いた対照実験でも同様のシリカ球沈殿が観察されており、抽出物質はLCPAである可能性が高いと思われた。前者の活性試験では直径50nm程度のシリカ球沈殿を得ることができた。また、後者の沈殿では直径30nmの孔がメッシュ状に開いた構造が一部で形成されていることも明らかとなった。羽状縦溝珪藻Caloneis bacillumの培養株を用いて、殻の形成過程をSEMにて観察を行った。その結果、間条線の完全長まで発達した後、お互いが融合して周囲環を形成することが明らかとなった。本構造はLuticola goeppertianaで観察されたものに類似し、さらにPinnulariaにおける様式とも類似するものであった。
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