1.チョウセンゴミシ 長野県南佐久郡の3集団で、花の機能維持期間の観察、人為受粉実験、訪花昆虫の行動観察と採取、及び花の紫外線吸収の解析を行った結果、以下のことが判明した。 ・雌花では、開花直後から約1週間柱頭がreceptiveのように見え、花被片はその期間正常な形状を保った後落下する。雄花では、開花直後から葯が裂開し、数日間は花被片が正常な形状を保ち、その後花被片及び雄蕊ともに落下する。 ・人為的な自家受粉と他家受粉の実験ではどちらも高率に結実し、自家和合性がある。 ・花にはハナアブ類と甲虫類が訪れ、その大部分が送粉に有効であるように見える。 ・雌花、雄花ともに全体が紫外線を強く吸収する。 2.マツブサ 岐阜県高山市近郊で、花の機能維持期間の観察、訪花昆虫の行動の観察と採取、及び紫外線吸収の解析を行い、以下のことが明らかになった。 ・雄花は夕方17時〜19時に開き始めて翌朝までにほぼ完全に開き、その翌日の朝までには花柄から離脱する。雌花は、夕方に花被が緩んでくるが、少し開く少数の花を除き、大部分の花は開くまでは至らない。翌朝までにほぼ完全に開き、その翌日の夕方までに花被片は落下する。 ・雄花にはタマバエ類とショウジョウバエ類が訪れる。タマバエは開花前に花の先に止まり、開花を待っている。先が開き始めてしばらくすると花の中に入り、雄蕊や花被片に産卵する。タマバエは翌日の完開した花にもよく訪れて産卵する。ショウジョウバエも日中訪れて、同様に産卵する。雌花へはタマバエが訪れて、花被片に産卵する。タマバエは雌花を訪れた個体にもマツブサの花粉が付着していたので、有効な送粉者であると思われる。しかし、ショウジョウバエが雌花に訪れる様子は観察されない。落下した花期間に産み付けられた卵は数日以内に孵化し、幼虫はその組織を食料とする。 ・雌花、雄花ともに全体が紫外線を強く吸収する。
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