これまでに公表された深海化学合成生態系に関する論文の整理を行った。 また、平成15年度に新たに公表された2つのシンカイヒバリガイ類の記載論文を収集すると共にフランスのMuseum National d'Histoire Naturelleから、日本にサンプルがなかった大西洋の熱水噴出域に生息するシンカイヒバリガイ類(Bathymodiolus puteoserpentis)8個体の譲渡を受けた。 さらに、本年度は小笠原海域の海形海山の水深450mの熱水活動域およびパプアニューギニアのマヌス海盆の水深1700〜2000mの熱水活動域で潜水調査船「しんかい2000」により採集されたシンカイヒバリガイ類の形態分類学的検討を行った。その結果、小笠原海域のシンカイヒバリガイ類はシンカイヒバリガイ亜科シンカイヒバリガイ属(Bathymodiolus)ではなく、平成15年度にシンカイヒバリガイ亜科の新属として提唱された(仮称)オオマユイガイ属(Gigantidas)に属する未記載種であり、マヌス海盆のものはシンカイヒバリガイ属に属する未記載種であることが判明した。これら2種のシンカイヒバリガイ類については平成16年度に論文として公表する予定である。 当初、平成15年度に計画されていた潜水調査船「しんかい6500」による南太平洋ラウ海盆潜航調査は実施されず、平成16年9〜10月に行われることになった。そのため、調査や資・試料整理や保管に必要な消耗品、画像処理システム、チェストフリーザーを整備した。また、ラウ海盆の潜航調査に参加予定の研究者と研究打ち合わせを行うため出張した。
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