研究課題
基盤研究(C)
まずトカラ・大隅諸島、九州南部のうち標本の少ない島嶼・エリアで採集を行い、続いて九州の他地域(長崎、大分など)や周辺島嶼(五島列島、壱岐)、本州西部(京都)、中部(三重、岐阜)、関東(茨城)、北陸(石川)、東北(山形)、北海道(札幌)などでも採集を行った.高高度エリアに,島内の低地や周辺の他島嶼のものと形態的に異なる個体群の存在が示唆されていた屋久島に関しては、低地と高地の両方からの生体サンプルの入手に努めた。生体サンプルからは生組織を摘出し、分子系統学的検討に用いた。残りは液浸標本とし、博物館や個人から借り受けた標本と併せ形態形質の検討に用いた。まず形態について、12の計数形質、15の測定形質、3つの定性形質を産地間で比較した。まず体サイズの指標とした頭胴長については産地間で大きく変異する一方、特定の地理的パタンは認められなかった。一方、少数の計数形質には大隅諸島を挟んでトカラ諸島と九州以北の間で比較的顕著な差異が認められた。ミトコンドリアDNAの12Sと16S rRNA領域を指標とした個体群間の分子系統学的解析では、トカラ・大隅諸島のものが九州以北のものと明瞭に分岐していること、さらに後者中、九州(五島、壱岐を含む)、京都+三重、岐阜以北の本州+北海道の間で若干の分岐があることが強く示唆された。想定される地史や古気象を考慮するならば、少なくともトカラ・大隅諸島の集団と九州以北の集団は、形態的には酷似するものの生物学的種概念の視点からは異なる種として分類されるべきであることが考えられる。一方予想に反し屋久島の高地のサンプルは同島の低地集団や他の大隅諸島集団とよくまとまった。岐阜以北の集団については最終氷期以降に急速に北上し、北海道に到達したことが考えられる。
すべて 2006 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (10件) 図書 (2件)
Biochemical Genetics 44(未定(電子版すでに公表)
Biochemical Genetics 44(electronically published ; hard copy is not yet available)
Herpetological Review 36
ページ: 212-219
In : H.Abe and R.Masuda (eds.), Natural History of Zoogeography, Hokkaido University Press, Sapporo,(in Japanese)
ページ: 78-93
In : S.Shinzaki, M.Higa, and S.Yanaka (eds.), Independence and Potentials of Insular Human Communities, Commons, Tokyo (in Japanese)
ページ: 314-327
Global Environmental Research 8
ページ: 133-143
Journal of Fossil Research 36
ページ: 43-59
Journal of Fossil Research 36(2)