研究課題/領域番号 |
15570088
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
邑田 裕子 摂南大学, 薬学部, 助手 (20167620)
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研究分担者 |
稲冨 由香 摂南大学, 薬学部, 助手 (00258089)
邑田 仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90134452)
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キーワード | コショウ属 / 分子系統解析 / 化学成分分析 / Piper flaviflorum / カワ / タイヨウフウトウカズラ / Macropiprer exelsum |
研究概要 |
1.標本調査、資料収集と同定:平成17年7月24日から8月3日まで、邑田裕子と稲冨由香はドイツのミュンヘン植物園、ボン大学附属植物園、ドレスデン工科大学附属植物園にてコショウ属を中心としたコショウ科の標本調査、生植物の調査を行い、資料の分譲を受けた。また、研究分担者の邑田仁が海外から収集したコショウ属植物、京都府立植物園から分譲されたコショウ属植物もあわせて、系統解析と化学成分検索に用いた。 2.系統解析:現在までに入手した資料からDNAを抽出し、核DNAのITS領域の変異に基づく分子系統解析を行った。得られた系統樹では、カワPiper methysticumとタイヨウフウトウカズラP.postelsianumはニュージーランド原産のMacropiper exelsumとともに、他のコショウ属と姉妹群となる単系統群(Macropiper群)として分離した。この群は形態的特徴からMacropiper属に対応するものと考えられ、タイヨウフウトウカズラを含むMacropiper属を独立属とすることを支持する。 3.化学成分分析:収集した植物資料からメタノールなどの溶媒で抽出し、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いて特徴ある成分の分析を行った。上記のMacropiper群の3種はTLCにおいてクロロホルム-メタノール(10:1)で展開し、UVランプ化の吸収、硫酸噴霧・加熱などの条件で比較したところ極めて類似したパターンを示した。またタイヨウフウトウカズラの主要成分の分離を行った結果、主成分としてフェニルプロパノイドと共にカワラクトン類であるdihydromethysticinが得られ、成分的にもMacropiper群が共通の特徴を持つ可能性が高くなった。またPiper flaviflorumの成分解析を昨年に引き続き行い、計26種の化合物を単離した。この植物の主成分は酸アミド類でPiperineの含有率が高かった。また新規化合物を含む5種のリグナンを単離した。得られた酸アミド、リグナンの骨格は現在まで、化学成分の検討されたコショウ属の中ではコショウP.nigrumに最も近い成分系であった。これらは系統解析の結果と符合するものである。
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