研究課題/領域番号 |
15570089
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
大野 素徳 崇城大学, 工学部, 教授 (30038434)
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研究分担者 |
服部 正策 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00164864)
千々岩 崇仁 崇城大学, 工学部, 講師 (30331060)
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キーワード | マムシ亜科ハブ属ヘビ / 南西諸島・台湾 / 進化 / 系統 / ホスホリパーゼA_2アイソザイム / アミノ酸配列 / cDNA / 第四紀陸橋 |
研究概要 |
本研究は、トカラ列島、奄美諸島、沖縄諸島、先島諸島、台湾に棲息するクサリヘビ科マムシ亜科ハブ属ヘビの進化と系統を、毒腺ホスホリパーゼA_2(PLA_2)アイソザイムのアミノ酸配列、cDNAの塩基配列を基にして、解析することを目的とする。まず、奄美大島、徳之島、沖縄ハブ毒のPLA_2アイソザイムについて調べた。塩基性[Asp^<49>]PLA_2型アイソザイムは、アミノ酸配列とcDNAクローニングにより、3島間でβウイング領域に変異があることがわかった。また神経毒性[Asp^<49>]PLA_2型では奄美大島と徳之島では同じであったが、沖縄ハブでは1残基の置換があった。これらは100万年に及ぶ孤立と島間の環境の違いに基づぐ変異である。これは、また、沖縄古陸よりまず沖縄が分れ、残りの島が奄美大島と徳之島に分れたことを示す。サキシマハプ毒より[Arg^<49>]PLA_2という新規な2つのPLA_2アイソザイムを単離し、アミノ酸配列とcDNA塩基配列を決めた。これまでのハブ属PLA_2アイソザイムが122アミノ酸残基よりなるのに対して、これら121残基であった。これは遺伝子変換による1残基減と考えられた。加えて1つの中性[Asp^<49>]PLA_2(122残基)のcDNAクローンをとった。サキシマハブ毒には3種のPLA_2アイソザイムしか含まれないことがわかった。サキシマハブ毒のPLA_2アイソザイムはハブ毒の対応するアイソザイムよりも台湾ハブ毒のそれらとの相同性が高く、サキシマハブはハブよりも台湾ハブに近い種であることが明らかとなった。地史的には、第四紀陸橋は中国大陸から奄美、沖縄までつながっていたとされているが、これらの現象は第四紀陸橋がせいぜい先島諸島、宮古島あたりまでであったことを示すものであろう。
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