分類学的解明が遅れている東アジア産の淡水生アナイボゴケ科地衣類のうち、Bouly de Lesdain (1921)によって台湾から報告されているミドリサネゴケ属の一種Staurothele fauriei de Lesd.について、タイプ産地である台湾北部を中心に、本種の生育地と考えられる河畔など淡水環境を調査した。 収集した標本(昨年度収集分を含む)は輸入し、標本化の後、外部形態および内部形態について、精査を開始した。外部形態については、主として実体顕微鏡による観察をおこなった。内部形態については、標本の縦断切片を作製し、プレパラートにしたのち、光学顕微鏡による観察を行った。 また、国内での補足調査として高知県において淡水生地衣類の調査を行い、これ以前に収集した雲南省北西部等産の標本についても合わせて分類学的検討を行っている。更に、化学成分の検討、培養株を用いての生理・分子に関連した研究の可能性について、専門家との意見交換を行い、研究の方向性を探った。
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