研究課題/領域番号 |
15570094
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
石田 敦彦 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90212886)
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研究分担者 |
谷口 隆信 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60217130)
加藤 剛志 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (60194833)
竹内 昌之 旭川医科大学, 医学部, 助手 (40226999)
亀下 勇 香川大学, 農学部, 教授 (60127941)
茂里 康 産業技術総合研究所, 人間系特別研究体, 主任研究員 (90357187)
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キーワード | CaMキナーゼ / プロテインホスファターゼ / 脱リン酸化 / GAPDH / 結合タンパク質 / 相互作用解析 / ファーウエスタンブロッティング / 抗体 |
研究概要 |
新規プロテインホスファターゼであるCaMキナーゼホスファターゼ(CaMKP)の生理機能を解明するために、ジゴキシゲニンでラベルしたCaMKPをプローブに用いた二次元ファーウエスタンブロッティングと質量分析とを組み合わせた方法により、ラット脳におけるCaMKP結合タンパク質を検索・同定した。ラット脳幹可溶性画分においてはfructose bisphosphate aldolase (aldolase)とglyceraldehyde-3 -phosphate dehydrogenase (GAPDH)がCaMKP結合タンパク質として同定された。蛍光偏光法を用いた結合実験により、これらは溶液中でもCaMKPと結合することが確認された。脳幹抽出液を用いてCaMKP特異的抗体による免疫沈降を行うと、GAPDHが共沈されたことから、実際の細胞内においてもCaMKPとGAPDHは複合体を形成していることが強く示唆される。また種々のCaMKP deletion mutantを作製し、GST-プルダウンアッセイによってCaMKPとGAPDHとの相互作用を調べる実験により、GAPDHはこれまで機能未知であったCaMKPのN末領域と相互作用していることが証明された。GAPDHはCaMKPの良好な基質であるCaMキナーゼI(CaMKI)やCaMキナーゼIV(CaMKIV)によって強くリン酸化されることが見出されたが、CaMKPの存在下ではこのリン酸化が強く抑制されることが判明した。このリン酸化の抑制はリン酸化・活性化されたCaMKIやCaMKIVをCaMKPが脱リン酸化・不活性化することによることも示された。以上の結果から、CaMKPがGAPDHと複合体を形成することにより、そのリン酸化レベルを調整している可能性が示唆された。CaMKPとGAPDHは何れも細胞のアポトーシスに関与することが示されているので、これらの分子による細胞死制御のメカニズムの解明に興味が持たれる(論文投稿準備中)。 またCaMKPの生理的基質と考えられる多機能性CaMキナーゼの動態を探る目的で、これらを認識する抗体を作製したところ、これらの抗体が予想外に広い反応性を示したので、その反応性について詳しく調べてみた。その結果、これらの抗体はCaMキナーゼのみならず様々な種類のセリン・スレオニンプロテインキナーゼを幅広く認識することが判明した。"マルチ抗体"と命名したこれらの抗体は新規セリン・スレオニンプロテインキナーゼの発現スクリーニングやセリン・スレオニンプロテインキナーゼの網羅的解析に威力を発揮するものと考えられる。
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