研究課題
基盤研究(C)
ジシアル酸構造は、神経突起形成とT細胞増殖の両方に関与する。神経細胞ではCD166など数種の糖タンパク質に存在する。CD166は哺乳類脳とT細胞に共通に存在する接着分子であるが、そのジシアル酸の役割は未解明である。本研究は、脳とT細胞に注目して、そのジシアル酸抗原が細胞分化や増殖を制御するメカニズムの理解を目指しており、下記の2点に取り組んだ。1.神経細胞上のジシアル酸構造による突起形成促進の分子機構の解明: 神経細胞上のジシアル酸構造の存在を、CD166以外に130kDaカドヘリン上にも同定した。カドヘリンのジシアル酸構造はCD166と同様にΟ-型糖鎖上に存在し。また、このジシアル酸構造の生合成に関与するα2,8-シアル酸転移酵素の発現を確認した。さらに、神経突起形成において、ジシアル酸構造が突起形成部位のラフト上に集積することを見出し、ラフトに集積するCD166またはカドヘリン上のジシアル酸の機能的重要性が示唆された。2.リンパ球上のジシアル酸構造によるT細胞抗原非特異的増殖の制御の分子機構の解明: リンパ球上のジシアル酸構造は、マウスT細胞上の100kDa CD166と未同定の200kDa糖タンパク質上に見出された。また、T細胞増殖におけるジシアル酸糖鎖の役割解明を目指し、ジシアル酸に対する抗体を用いた解析を行った。まず、マウスT細胞を抗ジシアル酸抗体で処理すると、CD3/CD4架橋による増殖刺激が促進されることが見出された。次に、このT細胞活性化条件においては、CD166、ST8SiaIV、I、VIの劇的発現上昇が起こり、それに伴い糖脂質とCD166上のジシアル酸構造が増加した。また、ジシアル酸をもつ糖脂質およびCD166は同一ラフト上に共存することがわかり、CD166および糖脂質のジシアル酸構造の増加が協同的にT細胞増殖を刺激することが示唆された。
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