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2004 年度 実績報告書

下等動物由来の多様なリン糖脂質構造の解明と生物活性の探索

研究課題

研究課題/領域番号 15570097
研究機関滋賀大学

研究代表者

杉田 陸海  滋賀大学, 教育学部, 教授 (20024937)

研究分担者 糸乗 前  滋賀大学, 教育学部, 助教授 (90324558)
キーワードリン糖脂質 / イノシトールリン酸糖脂質 / フィトグリコリピド / マイコグリコリピド
研究概要

本年度は、前年度からの継続研究として、特に食用菌類、シイタケ、ブナシメジ、エノキタケ、エリンギ、マイタケ、オオヒラタケ、マッシュルームにおける、(1)新規イノシトールリン酸含有糖脂質(マイコグリコリピド)の探索とそれらの構造解析、(2)TLC-免疫染色法による血液型活性の存否の確認を行った。
研究実績の概要は、次の通りである。
種々のマイコグリコリピドは、極めて共通性の高い基本構造(Manα1-2Ins1-P-Cer)に、更に糖鎖が延長して生まれてくるが、その糖鎖の延長、即ち、糖鎖の結合型は、(1)Gal(Fuc)型、(2)Gal(Fuc)/Man混合型及び(3)Man型の3種類に分類されることを明らかにした。
(1)Gal(Fuc)型は、基本構造にガラクトース及びフコースから構成されているグループで、ブナシメジ、エリンギ、オオヒラタケが分類される。また、ブナシメジの糖鎖の非還元末端構造に注目すると、Fucα1-2Galはヒト血液型のO型抗原構造を有し、Galα1-3(Fucα1-2)GalはB型抗原構造を有している。前者のマイコグリコリピドは、O型糖鎖を認識するレクチンにより検出され、後者のそれは血液型判定抗血清及び抗体あるいはA型の血液型血清中に含まれる抗B抗体により認識された。一方、エリンギとオオヒラタケについても、非還元末端糖鎖にB型抗原構造を有していた。
(2)Gal(Fuc)/Man混合型は、エノキタケとシイタケに見られ、基本構造にガラクトースとフコース、更に、非還元末端にマンノースが結合した糖鎖構造が特徴的である。特に、エノキタケのマイコグリコリピドは、構造的には新規なものではないが、付加価値のある物質(O型抗原)を大量に得ることができると言う点では、特筆できる。また、エノキタケのマイコグリコリピドの構成脂肪酸分析において、極めて興味深い結果を得ている。即ち、エノキタケを除いては、調べた菌類の主要な脂肪酸は、飽和酸(炭素数24の飽和の2-ヒドロキシ酸)であったが、エノキタケは、不飽和酸(炭素数24の不飽和の2-ヒドロキシ酸)であり、大きな差異が認められた。構成脂肪酸が飽和酸と不飽和酸では、マイコグリコリピドの物理的な性状に著しい違いの生じることが予測されることから、それらの差異に由来するところの生理活性評価に期待が持たれる。
(3)Man型は、我々が調べたところの菌類には、今のところ検出していないが、ドイツのグループがアンズタケに見出しているもので、ガラクトースもフコースも含有しない、マンノースのみから成るものである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Diversity of Oligosaccharide Structures of Glycosphingolipids in Invertebrates2005

    • 著者名/発表者名
      S.Itonori, M.Sugita
    • 雑誌名

      Trends in Glycoscience and Glycotechnology Vol.17 No.93

      ページ: 15-25

  • [雑誌論文] Newly Discovered Neutral Glycosphingolipids in Aureobasidin A-resistant Zygomycetes : Identification of a Novel Family of Gala-Series Glycolipids with Core Galα1-6Galβ1-6Galβ Sequences2004

    • 著者名/発表者名
      K.Aoki, R.Uchiyama, S.Yamauchi, T.Katayama, S.Itonori, M.Sugita, N.Hada, J.Hada, T.Takeda, H.Kumagai, K.Yamamoto
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry Vol.279 No.2

      ページ: 32028-32034

  • [雑誌論文] アコヤガイ,Pinctada martensiiスフィンゴミエリンの長鎖塩基2004

    • 著者名/発表者名
      糸乗 前, 北村朋典, 田中理恵子, 宮垣紀子, 齋藤洋昭, 杉田陸海
    • 雑誌名

      滋賀大学教育学部紀要 自然科学 No.54

      ページ: 41-48

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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