研究概要 |
◎イノシトールリン酸含有糖脂質(フィトグリコリピド及びマイコグリコリピド)の糖鎖プローブの解析 海水棲環形動物のエラコ,P.ochelataを用いて3種類のフィトグリコリピドの構造をIns-P-Cer,Manα1-6Ins-P-Cer,Manα1-6(Manα1-4)Ins-P-Cerと決定した。一方、今までに有しているノウハウを活かして、糖鎖機能を活用した新産業育成支援を念頭に置きながら、抗腫瘍性糖質の存在が指摘されているキノコ類(シイタケ、ブナシメジ、エノキタケ、エリンギ、マイタケ、オオヒラタケ、マッシュルーム)のマイコグリコリピドを精査した。1例として、ブナシメジのマイコグリコリピドの構造を示す。Ins-P-Cer,Manα1-2Ins-P-Cer,Galβ1-6Manα1-2Ins-P-Cer,Fucα1-2Galβ1-6Manα1-2Ins-P-Cer,Galα1-3(Fucα1-2)Galβ1-6Manα1-2Ins-P-Cer,Galα1-2Galα1-3(Fucα1-2)Galβ1-6Manα1-2Ins-P-Cer,Galα1-2Galα1-2Galα1-3(Fucα1-2)Galβ1-6Manα1-2Ins-P-Cer。また、糸状菌,Acremonium sp.より新規マイコグリコリピドを見出し、それらがイネ培養細胞に与える影響について調べた。更に、Zygomycetes sp.からも新規中性糖脂質を精製し、それらの構造を決定した。 ◎イノシトールリン酸含有糖脂質の糖鎖およびリン化合体認識プローブの開発 汽水棲環形動物のイトメ,T.heterochetusから得たManα1-2Ins-P-Cer及びManα1-2(Fucα1-5)Ins-P-Cerを抗原としてウサギから抗血清を調製し、特異抗体の精製を試みた。 ◎海水棲二枚貝のアコヤガイ,P.martensiiよりリン脂質として、セラミドアミノエチルホスホン酸及びスフィンゴミエリンを、糖脂質として2種類のセレブロシドを精製し、それらの完全構造を決定した。また、新規スフィンゴイドとして、3個の二重結合と分岐構造を有する9-methyl-Δ^<4,8,10>-sphingatrienineを見出した。
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