研究課題/領域番号 |
15570102
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
安増 茂樹 上智大学, 理工学部, 助教授 (00222357)
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研究分担者 |
井内 一郎 上智大学, 理工学部, 教授 (10011694)
田野倉 憂 東京大学, 農学生命科学研究科・応用化学専攻, 教授 (60136786)
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キーワード | メダカ / 孵化酵素 / アスタシン / タンパク質分解酵素 / 卵膜分解 |
研究概要 |
メダカ孵化時の卵膜分解は2種の金属プロテアーゼ(HCE、LCE)の共同作用による。HCEとLCEは、共にアスタシンファミリーに属し、アミノ酸配列で55%の類似性を示す良く似たプロテアーゼであるにもかかわらず、卵膜をまったく異なった様式で分解する。HCEは部分分解により卵膜を膨潤させ、LCEは生の卵膜は容易に分解せず、HCEにより膨潤した卵膜を効率良く分解する。前年度までの研究により、HCEとLCEの3次元構造がそれぞれ1.34と1.35Åの解像度で解明された。両者の立体構造は良く似ており骨格構造はほぼ重なり合う。しかしながら、分子表面の静電ポテンシャルを調べると両者に顕著な違いがみられる。これから、両者の異なった卵膜分解作用は、大きな構造の差違によるものではなく、部分的なアミノ酸配列の違いによるものと考えられる。現在、リコンビナントタンパク質を用い、HCEとLCEのキメラタンパク質を作成することで機能解析を試みている。一方、孵化酵素による卵膜分解物の解析も同時に行なっている。卵膜は受精後硬化する。これは、トランスグルタミナーゼの働きで、卵膜分子間に架橋構造が形成されることよる。この架橋構造がHCEまたはLCEの卵膜分子切断点の解析を複雑化すると考えられたため、未受精卵の卵膜を用いて解析を進めた。未受精卵膜はHCEまたはLCEのみで容易に可溶化される。幾つかの分解物のアミノ酸配列を決定した。その中で、37KDaのLCEによる分解物が卵膜サブユニットZI3のZPドメインを含んでいることが予想された。ZPドメインは脊椎動物に共通して存在する卵膜の基本構造である。孵化酵素の卵膜認識機構を解明する目的で、37KDa分解物の3次元構造を調べるべく、大量精製を試みている。
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