研究課題
基盤研究(C)
HCEとLCEの三次元構造を解明した。艀化液より精製したHCEまたはLCEを用い、異なる条件で結晶化に成功し、両者とも分解能1.3Å前後で解析に成功した。両者の三元構造を比較すると骨格は良く似ており全体的な構造は類似しているが、表面電荷など触媒部位に若干の違いがある。LCEとHCEはまったく異なった様式で卵膜を分解するが、これはおそらく両構造の部域的な違い、あるいは表面電荷の違い等によることが予想された。HCE分子中に卵膜との結合部位と触媒部位が独立に存在していることが示唆される。結合部位を探査する目的で、リコンビナントHCEを大腸菌の系を用い合成し卵膜分解作用を検討した。様々なミュータントリコンビナントタンパク質を作成した結果、29Eと32GをそれぞれQとRに変異させるとカゼインの分解活性に変化はなく卵膜分解活性が著しく(1/3)減少することがわかった。このことは、導入した変異は、酵素のタンパク質分解能には影響を与えず、上記結合部位を変化させることにより、卵膜分解能を著しく低下させたと考えられる。HCEの三次元構造より、この部位は触媒部位と遠く離れている(直線距離16A)。また、MCA-基質を用いてミュータントの基質特異性を調べたところ、変異は基質特異性に影響を及ぼしていなことが示された。これらの結果より卵膜分解には、触媒部位に加えて結合部位が必要であることが示唆された。HCEまたはLCEの卵膜分解物のアミノ酸配列をN端より決定することで、両酵素の卵膜タンパク質の切断点を決定した。その結果、1.HCEは、ZI12のPro-x-yリピート構造を細かく切断し卵膜を膨潤させること、2.LCEは、主にZI12のZPドメインの中心部分を切断することで、膨潤卵膜を効率よく可溶化する事が示唆された。HCEとLCEは、それぞれ特異的な部位を切断して、卵膜を協調的に分解することが示された。
すべて 2005 2004
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