研究課題
糖ヌクレオチド輸送体はゴルジ装置、小胞体の膜に存在する340〜400アミノ酸からなるN末端とC末端を膜の細胞質側に露出させた、10回膜貫通型の膜介在性タンパク質である。そして、糖ヌクレオチドをモノヌクレオチドとの対向輸送によってゴルジ装置や小胞体の内腔に運び込んでいる。輸送された糖ヌクレオチドは、糖供与体として利用され糖鎖修飾に用いられている。1996年に初めてUDP-GlcNAc, CMP-Sia, UDP-Galに対する糖ヌクレオチド輸送体の遺伝子が同定され、その後、いくつかの輸送体遺伝子が確認されることによって、糖ヌクレオチド輸送体は遺伝子ファミリーを形成することが示された。一方、ATP非共役型の輸送体は、HUGO Gene Nomenclature Committeeにより、SLC(solute carrier)として41のファミリーに分類され、糖ヌクレオチド輸送体はそのうちのひとつのSLC35遺伝子ファミリーとされた。我々は、オーファン輸送体遺伝子を含めて可能な限り、同じファミリーに属する遺伝子を探索し、遺伝子シンボルを付与した。既に糖ヌクレオチド輸送体としての機能が明らかになっている遺伝子、および解析中の輸送体遺伝子からのアミノ酸配列を利用してデータベースのスクリーニングを行い、相同性を示すヒト遺伝子を拾い上げた。その結果、全体としては緩やかな相同性を示す23遺伝子が見出された。これらは、それぞれ6つの比較的高い相同性を示す群に分かれたため、SLC35ファミリーを、さらにAからFまでのサブファミリーに分けたうえでそれぞれの遺伝子のシンボルを提案した。一方、我々は、hUGTrel8と命名した、ショウジョウバエの個体発生に関与している輸送体fringe connection、および線虫の産卵口の形態形成に関与するSQV-7輸送体と高い相同性を示す輸送体遺伝子を見出していた。その相同性から、重要な生理的役割を果たしていることが示唆されたため、UGTrel8を培養細胞、及び酵母での発現を行い輸送活性等の解析を進めた。その結果、hUGTrel8はゴルジ装置に局在し、32kDaの見かけの分子量をもった、UDP-GlcNAcを輸送基質とする糖ヌクレオチド輸送体でることを明らかにした。
すべて 2005 2004
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