GPIアンカー神経細胞接着分子は膜貫通領域を持たないことから、その細胞内シグナル伝達機構は殆ど分かっていなかった。最近スフィンゴ糖脂質が細胞膜上でミクロドメイン(脂質ラフト)を形成し、そこに外側からはGPIアンカータンパク質が、内側からはsrcファミリーキナーゼが局在していて、シグナル伝達の中継点として働いていることが明らかになりつつある。本研究はGPIアンカー神経細胞接着分子のシグナル伝達機構を明らかにすることを目的とする。 ラット小脳初代培養細胞をスフィンゴ糖脂質抗体で免疫沈降すると、GPIアンカー神経細胞接着分子TAG-1、srcファミリーキナーゼLyn、40kDaタンパク質が共沈する。ラット小脳初代培養細胞表面のTAG-1を抗体でクロスリンクするとがLynが活性化することを見つけたが、40kDaタンパク質は何かわからなかった。 本年度は、40kDaタンパク質は神経特異的三量体Gタンパク質Goのαサブユニットであることを見つけた。これはTAG-1のシグナル伝達に三量体Gタンパク質Goも関わっている可能性を示している。
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