研究概要 |
Casein kinase Iα(CKIα)はβ-catenin/Arm蛋白N-末端のSer45/Ser56アミノ酸残基を特異的にリン酸化することによって、Glycogen synthase kinase 3(GSK3)/zeste white 3(ZW3)によるβ-catenin/Arm蛋白のThr41,Ser37,33/Thr52,Ser48,44アミノ酸残基のリン酸化を著しく促進する事を見いだした。β-catenin/Arm蛋白の分解は、これらの一連のリン酸化による事から、CKIαはCanonical Wgシグナル伝達経路の負の制御因子であると結論した。 本年は他のisozymeであるCasein kinase Iε(CKIε)に関して解析を広げた。その結果、CKIεは弱いながら正の制御因子として働いており、なおかつCKIεはβ-catenin/Arm蛋白量に影響を与えない事、β-catenin/Armにより誘導したTCF/Dtcf依存性転写活性をCKIεのRNAiが抑制する事から、その作用点はβ-catenin/Arm蛋白の下流である事が明らかになった。おそらく転写因子TCF/DtcfやBCL9-2/Leglessのリン酸化を介して、β-catenin/Arm・TCF/Dtcf転写複合体の状態を制御しているものと考えられた。 Drosophila培養細胞でのRNAiを用いたWg経路構成員の網羅的検索系の確立を、本年度の研究課題に加えた。Wg刺激に依存して1500倍ものLuciferase活性の上昇を与える広いダイナミックレンジを持つFirefly Luciferase Reporter plasmidを作成し、これを用いた微量アッセイ系を開発した。Microplate僅か50枚でDrosophila全遺伝子についてのRNAi screeningが可能となった。
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