PKC及びDGKに存在する脂肪酸応答ドメインの高次構造を明らかにする研究の一環として、本年度は以下の研究を行った。 1.これまでの研究より、DGKγにおいてはC1AではなくC1Bドメインが脂肪酸と相互作用すると予想された。そこで、1次構造上相同性の高い両ドメインの高次構造をNMR解析により比較することで、脂肪酸応答に必要な高次構造を明らかにしようと考えた。そのために、まずDGKγC1A及びC1BドメインとGSTまたはMBP(Maltose binding Protein)との融合蛋白質をコードするプラスミドを構築した。ついで、各プラスミドを大腸菌に形質転換し、グルタチオン及びアミロースカラムを用いて各融合蛋白質を精製した。その結果、500mlの培養液から約0.5mgのMBP-DGKγC1A及びMBP-DGKγC1Bを得た。一方、GST融合蛋白質の収量は非常に少なかった。そこで、以降の実験にはMBP融合蛋白質を用いることとした。現在、MBP融合蛋白質をプロテアーゼ処置し、亜鉛イオン存在下でリフォールディングさせたのち、目的ドメインを精製するためのゲルろ過及びイオン交換を行っている。 2.一方、DGKγ全体の高次構造を解析するため、GST融合DGKγをコードするバキュロウイルスを作製した。このウイルスを感染させた昆虫細胞培養液から、グルタチオンカラムを用いて全長DGKγを簡易精製することに成功した。今後、GSTを切断したのち、結晶化を試みる予定である。
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