研究課題/領域番号 |
15570116
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
吉野 健一 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (90280792)
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研究分担者 |
米澤 一仁 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (70283900)
徳永 千春 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (70335462)
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キーワード | mTOR / raptor / 細胞成長 / 質量分析 / アミノ酸 |
研究概要 |
本研究課題は、細胞成長制御シグナリングを司る蛋白質複合体の構成メンバーを同定することを目的として、プロテオミクス的手法によってmammalian target of rapamycin (mTOR)を介したシグナル伝達系を担う新規蛋白質を探索、同定し、その蛋白質のmTORシグナル伝達系における機能を解析することである。昨年に引き続き、申請通り、最近我々が見出した新規蛋白質、mTORシグナル伝達系のスキャホールド蛋白質raptorに結合する蛋白質の探索、さらにmTORそのものをベイトとした結合蛋白質の探索、同定を試みた。RaptorおよびmTORに、FLAGタグを付加したリコンビナント蛋白質をHEK293細胞に発現させ、このFLAGタグを付加した蛋白質と共精製される蛋白質を、SDS-PAGEによって分離し、質量分析法による同定を試みた。 その結果、有意に結合する蛋白質として数種の候補蛋白質が同定された。そのなかで、今後mTORシグナル伝達系やこの系によってアミノ酸代謝システム、細胞成長を制御するシステムがいかに制御されているのかを解明する重要な手がかりとなりうる40K、120Kの分子量を有する機能未知蛋白質、および80Kの分子量を有するアミノ酸代謝に関与する蛋白質が有意な結合蛋白質として同定された。蛋白質リン酸化酵素であるmTORの基質としては、現在のところ、40Sリボソームの構成蛋白質の一つ、S6蛋白質をリン酸化するp70 S6キナーゼと翻訳開始因子eIF-4Eの活性を制御する4EBP1の2種類のみが知られているが、mTORの新規な基質となる可能性を持った分子も同定された。今後、これらの候補分子の生化学的な解析を進め、mTORシグナル伝達系への寄与を明らかにしていきたい。
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