我々はIL-1β、IL-18、TNF-αがGPIアンカー糖鎖を認識していることを見出し、糖鎖認識活性を持つ生理活性物質サイトカインの中にGPIアンカー糖鎖を認識する一群が存在すると考えている。本年度は、IL-18のGPIアンカー糖鎖認識が生理活性発現にどのように関与しているのかという点について新しい知見が得られた。まず、IL-18受容体α、βサブユニットは共に膜貫通蛋白質であることから細胞膜上でIL-18及びその受容体と複合体を形成するGPIアンカー蛋白質を検索した。IL-18受容体に対する抗体による免疫沈降物をGPIアンカー結合活性を持つ細胞毒素Proaerolysinで検出した結果、47kDa付近に一本のバンドが得られた。また、抗CD48抗体によっても検出されることから、CD48であると同定した。さらに、CD48リコンビナント蛋白質を合成してIL-18受容体αサブユニットとの結合活性を調べた結果、CD48のペプチド部分とGPIアンカー糖鎖をデュアルに認識していることも明らかとなった。IL-18受容体βサブユニットはIL-18に対して直接の結合活性を持たないが、IL-18、IL-18受容体αサブユニット及びGPIアンカー蛋白質CD48が複合体を形成することがβサブユニットとの結合のトリガーとなり、シグナル伝達に結びつくと考えられる。以上の結果は、GPIアンカー糖鎖のIL-18依存的生理活性発現モジュレーターとしての役割を示唆するものである。
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