研究概要 |
神経成長円錐はラメリポデイアさらにフィロポデイアを形成しつつ伸長する。ラメリポデイアはアクチンネットワークがその骨格をなし、それが再編されてできたアクチン束がフィロポデイアの芯を形成していく。また伸長時にはフィロポデイア先端ではアクチン重合がさかんで、引き続いてアクチン束内をアクチン分子が逆行性に移動することがわかっている。したがって先端でのアクチン重合の速度が逆行性移動の速度より大きい場合に、伸長の機械力を生み出すと考えられる。この先端部位で細胞内情報をアクチン重合へと変換の橋渡しをする分子の一つがWAVE2であることをあきらかにした。さらに今研究では神経芽腫細胞NG108をつかって以下の結果を得た。 1、WAVEアイソフォーム1〜3とEGFPの融合コンストラクトを作成し、NG108に発現させ、成長円錐での局在を観察した。その結果WAVE1はラメリポデイアのみ、WAVE2,3はフィロポデイアにも局在すること、特にWAVE2はフィロポデイア先端に強く発現することがわかった。 2、WAVE2cDNAを断片化したものとEGFPとの融合コンストラクトを発現させることにより、フィロポデイア先端への局在を決定しているのはN端側に位置する52番から82番のアミノ酸からなるleucine zipper like motifであることがわかった。 3、フィロポデイアの伸長にはアクチン重合のみならず、アクチン繊維を束ねる分子が必要であること。この作用をする分子の一つはファシンであることを、ファシンとEGFPとの融合タンパク質の局在を観察することにより碓認した。 4、ファシン以外にアクチン繊維を束ねる作用のある新奇の分子としてLasp-1およびLasp-2があることを同様の手法によりあきらかにした。 5、ファシン、Lasp-1およびLasp-2はゆるい相互作用でアクチン繊維を束ねており、アクチン繊維内の単量体の逆行性の輸送を妨げることがないことがわかった。
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