研究課題
基盤研究(C)
我々は様々な疎水性親水性バランスを持つ18残基からなる塩基性両親媒性モデルペプチドをデザイン・合成し、リン脂質との相互作用様式を研究する中で、脂溶性の強いペプチドHel13-5が中性脂質からなるリポソームをナノチューブ化する現象を見いだした。今回研究期間、我々はこの線維状管状構造体形成に注目し、各種生体内リン脂質との相互作用、又Hel 13-5関連ペプチドの新たなデザインと合成による管状構造形成の化学的要因やその生成機構の解明を試みた。またHel 13-5関連ペプチドを用いて細胞内小胞輸送に見られるミクロなナノチューブ形成の要因を追及した。構造形成のための要因を明らかにするために、数種のアナローグのデザインを行った結果、両親媒性構造の脂溶性の部分が重要で、水溶性部分は、色々なアミノ酸に置換できること、更に脂溶性-水溶性バランスを保ったまま、鎖長を変えていくと、管の直径はあまり変化がないが、長さが異なった構造体が、電子顕微鏡観察で、見られた。脂質とペプチドで形成される線維は混合後1時間以内に形成され、その後その構造が溶液中で安定に存在する。このことは、チューブ内への物質の包接が容易なることを示し、脂質チューブをホストとしてゲスト化合物の包接加工を容易にする。実際に我々は、金コロイド溶液をチューブ内に閉じこめ、紫外線を照射することによって、金ナノワイヤーの合成に成功した。また重水素化リン脂質を用いての中性子溶液散乱実験などの溶液物性を調べ、結合状態を見た所、脂質ヘリックス構造由来の散乱がみられた。さらに、現在そのデータを基にペプチド-脂質複合体のモデル化を行っており、それよりナノチューブの分子構造を明らかすることにしている。
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