リボソーム結合エンドリボヌクレアーゼ遺伝子の同定 エンドリボヌクレアーゼ活性欠損の原因遺伝子は接合とP1ファージによる形質導入によって大腸菌遺伝子地図59.5-60.0分の10kbにマップされていたので、この領域に存在する約20のorfについてPCRを用いたクローニングを行った。その結果、変異はそれまで機能未知であったyfjN遺伝子によって相補できることが判明した。ヌクレアーゼ活性欠損の大腸菌変異体2種のyfjNについて塩基配列を調べたところ1種はナンセンス変異、他の1種はミスセンス変異をもっていた。このことからyfjNがヌクレアーゼ活性欠損の原因遺伝子であることが判明した。さらに、Hisタグ化したYfjNタンパクを量産・精製したところエンドヌクレアーゼ活性を示した。 翻訳終結コドンに依存したmRNA切断活性の解析 この切断活性は3種類の終結コドンいずれに対しても効果的に作用することを明らかにした。さらに、翻訳開始に必要なSD配列の破壊により切断は起こらなくなること、アンバーコドンに依存した切断の場合には翻訳終結を抑制するサプレッサーtRNAの存在下で切断活性が低下することと下流でペプチド伸長に依存した切断が生じることを確認した。これらの結果から、終結コドンに依存した切断は、配列に依存するのではなく、翻訳の終結に依存していることが結論できる。 大腸菌std変異体に蓄積する安定なRNAの解析 エチジウムの染色で検出されるRNAを精製し、RNAリガーゼによる環状化やcDNAの作成、クローニングと配列決定により、このRNAは23S rRNAのヌクレオチド1304-1610を含む塩基長307のRNAであることが判明した。Northernブロットの解析から、このRNAは野生型大腸菌に比べstd-2変異体では5-10倍の蓄積が認められるものの、野生型でも蓄積が顕著であった。そこで、このRNAの配列を詳しく検討したところ翻訳開始に必要なSD配列と開始コドンが適当な間隔で並んでおり、27アミノ酸から成るポリペプチドをコードできるorfの存在が確認できた。従って、この23S rRNA由来低分子RNAはmRNAとして機能することが示唆される。
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