研究課題/領域番号 |
15570146
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
小山 秀機 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (40085626)
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研究分担者 |
足立 典隆 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (30264675)
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キーワード | 塩基除去修復 / DNAポリメラーゼβ / FEN1 / ニワトリDT40細胞 / ジーンターゲティング / 組換え能 / 薬剤感受性 / 塩基除去修復活性 |
研究概要 |
塩基除去修復(BER)は、DNAの脱塩基や修飾塩基部位を修復する経路であり、DNAポリメラーゼ(Pol)βが関与するショートパッチ(SP)経路と、Polβに加えてPolδ/εとPCNA、FEN1が関与するロングパッチ(LP)経路がある。我々は、すでにニワトリDT40細胞からFENT破壊株、Polβ破壊株およびその2重破壊株を作製した。本研究は、これら破壊株の表現型、および異なる塩基損傷の修復におけるSP BERとLP BERの役割分担の解析を目的に行い、次の結果を得た。(1)2重破壊株は上記2経路の重要酵素が欠損しているにも関わらず生存可能であり、これは代替酵素ないし新修復経路の存在を示唆した。(2)各破壊株の増殖能は野生株より低く、破壊株でアポトーシス細胞が増加した。(3)MMSに対してPolβ破壊株とFEN1破壊株は同程度の高感受性、一方H_2O_2に対してFEN1破壊株と2重破壊株は高感受性、Polβ破壊株は野生株と同程度の感受性を示した。(4)Polβ破壊株は、非相同組換えによるDNAの染色体挿入頻度が有意に低下し、逆に相同組換えによるターゲティング効率が有意に増加していた。(5)細胞から核抽出液を作製し、またウラシル(U)ないし8-オキソグアニン(80G)を含むアッセイ基質を作製し、BER活性の測定条件を確立した。(6)この系において、U基質を用いると野生株とPolβ破壊株のBER活性に差がなく、一方FEN1破壊株と2重破壊株の活性は著しく低下していた。(7)80G基質では全BER活性はU基質と同様の結果を得たが、LP BER活性ではPolβ破壊株は野生株より高い活性を示した。(8)これら結果は、野生株とPolβ破壊株がH_2O_2に対して同程度の感受性を示し、FEN1破壊株と2重破壊株が高感受性を示す結果と一致していた。
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