RNAポリメラーゼII(pol II)はRpb1-Rpb12の12種のサブユニット蛋白質で構成される。最大サブユニットRpb1のC末端ドメイン(CTD)は特殊な反復配列で構成されpol II本体から突出した構造をもつ。CTDは転写サイクルの進行に伴い高度リン酸化・脱リン酸化を繰り返し受け、これが最も特徴的なpol IIの機能制御機構とされる。この機構の中でCTDの脱リン酸化を担うホスファターゼはFcp1であり、昨年までの解析でFcp1はその基質であるCTDをもつRpb1サブユニットではなく小型サブユニットRpb4を介してpol IIに結合することが明らかとなっている。このRpb4-Fcp1相互作用によるpol II制御機構の解明のため、他生物種で決定されたRpb4の高次構造を基に分裂酵母Rpb4が7本のヘリックスで構成されると予測し、分裂酵母Rpb4の構造機能相関を解析した。pol II-Fcp1複合体の生化学的分離が可能なタグ配列を持つ分裂酵母株をもとに野生型rpb4遺伝子の発現停止後に変異型rpb4遺伝子を構成的に発現する酵母株を作製し、これを用いてヘリックス単位の連続的な欠失をもつrpb4遺伝子及び蛋白質の機能を解析した。細胞の成育のためにはRpb4のN末端側のドメインのみで十分であることを明らかとし、さらにこのドメインのみでpol II-Fcp1の複合体構成とCTDの脱リソ酸化も進むことを生化学的に証明した。同時にN末端のヘリックスやC末側ドメインを欠失したrpb4遺伝子をもつ酵母株は条件致死性となることを見い出し、これらの領域の機能についての解析も行っている。
|