研究概要 |
平成15年度に計画していた実験は1部を残してほぼ終了した。すなわちSki及び他のコリプレッサーがMybどの領域に結合するのかを調べたところ、Ski、Sin3A,そしてN-coRはMybのN末側のDNA結合部位に、TIF1βはC末側の負の制御領域に結合することを明らかにするとともに、免疫沈降実験によって実際にこれらのコリプレッサーとMybが細胞内で結合していることを確認した。また細胞内での局在を免疫染色法と共焦点レーザースキャン顕微鏡を用いて観察したところ、細胞核内でコリプレッサーとMybがdot状の構造物を作って共存していることが明らかになった。さらにMybの負の制御領域を欠失した転写活性と細胞がん化活性の高い変異体ではコリプレッサーと共存してないこと、また互いに結合してないことを発見した。さらに細胞内で実際にMybを含むコリプレッサー複合体が結合しているのかを調べるため、マウス骨髄芽球細胞M1に野生型と負の制御領域を欠失した変異型Mybを安定的に発現する細胞株を樹立して、クロマチン沈降実験を行った。Mybの標的遺伝子プロモーターとしてMyc遺伝子のプロモーターを用い、このプロモーター上に乗っているSki、Sin3A,そして、N-coRの量を2つの細胞株で比較検討した。その結果野生型の株では3つのコリプレッサーが確かにプロモーター上に存在するが、変異型の株ではこれに比べて格段に少ないことが判明した。以上のことからMybの転写活性と細胞がん化活性がこれに結合するSkiを含むコリプレッサー群によって制御されていることが示唆された。
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