真核生物のDNA複製の研究における最大の課題となっているCdc45がクロマチンに移行する分子機構は主に(1)Sld3の脱リン酸化による制御、(2)Cdc7-Dbf4キナーゼ複合体によるMcm複合体のリン酸化による制御、(3)GINS複合体による制御の3つが報告されている。本研究は(1)のSld3の脱リン酸化による制御という観点から研究を行ってきた。しかし、最近、(1)で重要な機能を担うと予測されていたPP2Aが、ヒトデの受精後のDNA複製開始に機能しているという証拠が得られなかった。そこで、(2)と(3)について解析を行っている。まず、ヒトデのCdc7をクローニングし、その抗体を作製して、受精後のDNA複製開始におけるCdc7の動態を明らかにしつつあるが、その過程でCdc45のクロマチンに移行するためにはCdc7の機能が重要であるとの研究結果を得たので、Cdc45のクロマチンへの導入に関してはCdc7の活性調節機構を明らかにすることが重要であると考え、そのためにはヒトデ卵において受精によりDNA複製が開始する際の、特にCdc45がクロマチンに導入される際の、Cdc7の活性の変動を明らかにしようとしている。また、Cdc7はタンパク質キナーゼの活性サブユニットであるが、その活性を発現するためには調節サブユニットのDbf4や他の調節因子であるMcm10などが必要とされているので、これらの因子についてもクローニングを行う予定である。(3)のGINSのサブユニットの一つであるSLD5に関してはヒトデのホモログをクローニングして解析中である。
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