アンカリング蛋白質CG-NAPは中心体およびゴルジ体に局在するコイルドコイル蛋白質である。CG-NAPのゴルジ体における機能の解析を目指して、まずゴルジ体への局在機構の解析を行った。 (1)内在性CG-NAPのゴルジ体への局在を免疫染色法により観察したところ、間期においてはゴルジ体の各種マーカー蛋白質の近傍に局在した。またG2期後期からゴルジ体近傍への局在は弱まり、Prophaseにはまだゴルジ体は残っているにもかかわらず、CG-NAPは共局在しなくなり中心体にのみ局在が見られた。 (2)M期におけるゴルジ体の断片化過程の観察に適したセミインタクト細胞系を導入確立し、その系におけるCG-NAPの挙動を観察したところ、ゴルジ体局在酵素やマトリックス蛋白質は断片化した局在を示したが、CG-NAPはそれらとは共局在せず、中心体のみに局在していた。 (3)CG-NAPの各種欠失変異体の細胞内局在を解析し、アミノ末端領域にゴルジ体への局在を司る領域があることを見出した。 (4)ゴルジ体局在領域に結合する蛋白質を現在探索中である。 (5)CG-NAPのM期の局在変化に関与する可能性のあるリン酸化酵素(CG-NAPに結合するリン酸化酵素、M期特異的リン酸化酵素、ゴルジ体に局在するリン酸化酵素等)によるCG-NAPのリン酸化についてin vitroで検討したところ、ゴルジ体局在領域近傍がM期に活性化されるpolo-like kinase(Plk)により強くリン酸化を受けることを見出した。 以上よりCG-NAPはアミノ末端領域を介してゴルジ体に局在し、M期に入る直前からゴルジ体への局在が弱まり、ゴルジ体成分とは異なる挙動を示すことを見出した。この局在変化にPlkによるリン酸化が関わる可能性も考えられた。
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