アンカリング蛋白質CG-NAPは中心体およびゴルジ体に局在するコイルドコイル蛋白質である。CG-NAPのゴルジ体における機能の解析を目的として、CG-NAPのゴルジ体への局在を阻害し、ゴルジ体形成、および小胞輸送系の影響を調べた。 (1)CG-NAPのゴルジ体局在領域を過剰発現させると内在性CG-NAPは中心体には残りゴルジ体からは解離することを見出した。この条件下で各種ゴルジ体蛋白質の局在を観察したところ、コントロールと比較して不定形で分断化された形態を示した。そこでGFP融合ゴルジ体蛋白質の挙動をライブイメージングにより観察したところ、中心体近傍で分断化された局在を示し常に不安定に動いていた。またBFA処理により小胞体からゴルジ体を再形成させる系においても中心体近傍には集まるが最後の融合ができないような挙動を示した。 (2)CG-NAPのゴルジ体局在領域過剰発現細胞における小胞輸送系への影響を調べるために、VSV-Gts変異体を発現させてその挙動を観察したところ、小胞体〜ゴルジ体〜細胞膜への移行は阻害されなかった。しかしその速度は異なる可能性があり詳しい解析を行っている。 (3)RNAiによるCG-NAPの発現抑制を試みたところ、ゴルジ体局在は低下するが中心体には残る傾向がみられた。このような細胞で上記と同様にゴルジ体形成、小胞輸送の検討を行ったところ類似した現象が観察された。 以上より内在性のCG-NAPがゴルジ体から解離すると、ゴルジ体形成の融合段階が不完全で分断化されたままであると考えられ、この段階にCG-NAPが関わる可能性が示唆された。現在メカニズム解明を目指してCG-NAPのゴルジ体局在領域と相互作用する蛋白質の探索を引き続き行っている。
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