研究概要 |
FrizzledはWnt受容体としてWnt canonical pathwayに加えてPCP pathwayなど種々の情報伝達経路に関わっている。本研究では細胞質に存在するfrizzled分子のC末端に直接結合する分子(frizzled interacting protein, fzip)の同定・解析を行っている。 frizzled-4および-7に特異的に結合するfzip-2は6つのPDZ domainを有するMAGI-3のマウスホモログであった、興味深いことにMAGI-3は、ショウジョウバエにおいて細胞極性制御にかかわるstbm/vangのマウスホモログである。Ltapとも結合した。さらにfrizzled-4/Ltap/MAGI-3は三者複合体を形成し、上皮細胞において細胞間接着部位で共局在を示した。この複合体のPCP pathwayへの関与を調べるためにJNKの活性化を検討したところ、frizzled-4およびLtapの共発現でJNKの若干の活性化が観察され、MAGI-3はこの活性化を顕著に増強することが示された。これらの結果は、MAGI-3がfrizzled-4とLtapの足場タンパク質としてPCP pathwayの制御に関わっている可能性を示唆する。 Fzip-3の抗体を作製し、細胞内局在を検討したところ、中心体に存在し、細胞分裂時には中心体および紡錘糸に局在した。fzip-3の個体における機能解析を目的としてfzip-3のコンディショナルノックアウトマウスの作製を試みた、その結果、fzip-3の欠失変異体が胎生致死であるのに対し、コンディショナルノックアウトマウスは正常に発生し、異常は観察されなかった。現在欠失変異体の解析を行うと共に、部位、時期特異的なfzip-3遺伝子への変異導入により詳細な機能解析を進めている。
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