研究課題
七回膜貫通型受容体frizzledはWnt canonical pathwayやPCP pathwayなど複数の情報伝達経路の制御に関わっている。本研究ではfrizzledの機能解析を目的としてfrizzled結合タンパク質の検索を行いfzip1〜3という3つの分子を同定し、機能解析を行った。その結果fzip-1はゴルジ体に存在し、frizzledがゴルジ体から細胞膜へ移行する際に機能し、さらに精子形成過程においてはゴルジ体から発生する先体の形成に必須であることが明らかになった。またfzip-2は、種々の膜タンパク質の足場タンパク質として報告されているMAGI-3のマウスホモログであり、Wnt signalにおいてはfrizzledおよびLtapの足場タンパク質として機能し、JNKシグナル制御に関わることを明らかにした。一方、Fzip-3は、frizzledおよびdishevelledを高発現した細胞においてSmall Gタンパク質依存的な蓄積を示し、さらに細胞分裂時には中心体および紡錘体に局在していた。Fzip-3の個体における機能解析を目的としてfzip-3のconditional knockout mouseを作製したところ、null alleleのホモ接合体が胎生12.5日までに死亡するのに対し、conditional alleleは正常に生まれ、これまでに外見上の異常は観察されなかった。さらにこのマウス作製過程で、fzip-3を野生型の約5%しか発現していないweak alleleが作出され、そのホモ接合体は出生直後に死亡し、AP軸の短縮、脊椎の形成不全などWntノックアウトマウスの表現型として報告のある表現型を示した。これらの結果は、fzip-3がfrizzledによる情報伝達経路の標的分子として機能する可能性を示唆しており、その分子基盤の解明に興味が持たれる。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
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