研究概要 |
神経管は脊椎動物を特徴づける器官であり、高度な中枢神経系を構成するだけでなく、中軸構造としても重要である。これまでに見つかった神経管特異的CiNut1遺伝子の他にCiCadII遺伝子およびCiNut2遺伝子について、神経管の形態形成運動における重要性に対する示唆を得る目的で、これらの発現解析を行った。 1,CiCadII遺伝子の機能解析 神経管形成過程で細胞接着が重要であり、脊椎動物等における神経管形成過程でカドヘリン遺伝子の重要性が明らかなことから、神経管で発現するカドヘリン遺伝子を探した。その結果から、CiCadII遺伝子が神経管特異的にzygoticな発現を示すことを明らかにした。CiCadII遺伝子はクラシカルタイプIIのカドヘリンをコードする。この遺伝子の機能解析を行うことで、神経管形成分子メカニズムに対する理解が深まるものと期待される。 2,CiNut2遺伝子の発現解析 昨年度、CiNut1遺伝子パラログであるCiNut2遺伝子がみつかったことから、CiNut1遺伝子との関連を明らかにし、CiNut2遺伝子の機能を予測する目的で、CiNut2遺伝子の時間的・空間的発現パターンをCiNut1遺伝子のそれと詳細に比較した。in situハイブリダイゼーションおよびRT-PCRによる解析でCiNut2遺伝子は、のう胚期以降、CiNut1遺伝子と同様に神経索および脳で発現し、CiNut1遺伝子同様、神経管形成過程で重要な働きをしていると考えられる。しかし、リアルタイムPCRを用いて定量したところ、その発現量はCiNut1遺伝子の1/1000程度しかないこともわかった。
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