研究課題
高齢者歩行運動の実態を個体追跡による縦断的研究により調べ、その生活の質との関連を明らかにすることを目的とする。ロコモーション能力は基礎体力と生活維持の基本要因であるため、高齢者社会へ進みつつある現在、詳細な調査が求められる。昨年度に整備された機器と実行計画に従い、本年度より実測調査を開始した。被験者は地域在住の満65歳以上の一般高齢者ボランティア女性11名、男性12名、計23名である。初回時の平均年齢は女性69.3歳、男性71.7歳である。個体追跡のため半年ごとの2回大学へ集まってもらい測定を行った。健康な高齢者の対照群として、この地域で盛んなグラウンドゴルフ競技クラブに所属して日常的に実技を行っている満65歳以上の高齢者にボランティアを依頼した。これをGG群と名付ける。GG群は女性12名、平均年齢69.3歳、男性12名、平均年齢71.2歳、計24名よりなる。被験者には調査の意図を説明し書面で承諾を得た。測定項目は身長、体重、体脂肪量、骨密度の生体計測、握力、開眼片足立ちの生理機能計測、歩行時の体節移動、同角度変化、重心位置加速度の運動学・運動力学計測、問診票による日常生活調査、万歩計貸し出しによる1週間の歩数記録、などである。現在はまだ半年間隔2回の調査であるので個体追跡は充分ではないが、中間的な結果は次の通りである。一般高齢者群は肥満者が少なく、転倒経験が少なく、日常歩数が多く、同年齢層既報値と比べて握力と片足立ち時間がやや大きく、またGG群との差はほとんどない。これは大学まで来訪する意欲と体力のある方々の集団であることが関係すると考えられる。この種ボランティアの問題となるところである。歩行において青年成人と大きく差が見られるのは速度である。これは下肢関節可動域とくに股関節可動域が狭く、歩幅が小さいことが要因とみられる。
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Gait and Posture (印刷中)
石器づくりの実験考古学(石器技術研究会編)(学生社、東京)
ページ: 173-180