研究課題
基盤研究(C)
高齢者の歩行運動を個体追跡を用いた縦断的方法により研究し、とくに生活の質(QOL)の観点から高齢者の健康福祉へも寄与することを目的とする。歩行能力は基礎体力の指標であり、自立した生活の基本要因である。少子高齢化社会が進みつつある日本において、詳細な研究が必要である。昨年度よりの調査を続行し、まとめを行った。被験者として、まず66歳から78歳までの地域在住高齢者28名(うち女性15名、男性13名)の高齢者(ここでは65歳以上)を夏冬半年ごとに縦断的に調べた。対象群として、日常的に運動を行っている地域スポーツクラブ会員の高齢者24名(うち女性12名、男性12名)、および20歳近辺の若年成人20名(うち女性10名、男性10名)の調査をいずれも夏季に一回のみ調査した。被験者には調査の目的を説明し、書面で同意を得た。測定項目は身長、体重、体脂肪量、骨密度の生体計測、握力、開眼片足立ちの生理機能計測、歩行時の体節移動、両角度変化、重心位置加速度の運動学・運動力学計測、問診票による日常生活調査、万歩計貸し出しによる1週間の歩数記録、などである。これらの研究により以下の三つの課題が指摘検討された。1)健康な高齢者の若年成人とのちがいが明らかとなった。日常生活動作能力(ADL)の低下、筋力の低下、平衡能の低下と、これらと関係すると考えられる一歩距離の低下、歩行速度の低下、両脚支持期の延長などがみられた。また加速度の周波数分析、高齢者内部での年齢相関などの新しい知見もえられた。2)健康な在宅高齢者地域集団の実態を示した。日常活動量が体力維持に役立つことを示した。3)季節変動の徴候をみとめた。夏と冬における活動量のちがいが体力と歩行に影響していると考えられる。これについてはさらに縦断的研究をつづける必要がある。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
Gait and Posture 22・3
ページ: 225-232
Anthropological Science 113・3
ページ: 309
Gait and Posture 22(3)
Anthropological Science 113(3)