研究課題/領域番号 |
15570198
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
五十嵐 由里子 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60277473)
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研究分担者 |
松江 美代子 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (70165265)
清水 武彦 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (40328761)
金澤 英作 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70050648)
近藤 信太郎 昭和大学, 歯学部, 講師 (60186848)
山下 真幸 獨協医科大学, 医学部, 助手 (80255009)
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キーワード | 非齲蝕性硬組織欠損 / 楔状欠損 / 下顎隆起 / 現代日本人 / 縄文時代人 |
研究概要 |
昨年に引き続き、形質人類学的研究を行った。楔状欠損に関しては、現代日本人抜去歯を用いて、楔状欠損の出現状況を調べた。今年は新たに上顎犬歯(左側179本)についての観察結果を得た。その結果、切歯と犬歯では楔状欠損の出現状況(発現頻度、好発部位、好発する形態のタイプ)に違いが見られた。切歯においては、楔状欠損がみられた歯は全体の37.7%であったが、犬歯では全体の62.6%に楔状欠損がみられた。また切歯においては、比較的多くのタイプの楔状欠損が、比較的多くの面に現れたが、犬歯においては、限られたタイプの楔状欠損が唇側に偏ってみられた、という傾向がみとめられた。このことから、楔状欠損の成因は歯種によって異なる可能性が示唆された。今後も他の歯種について同様の観察を行う。また、これまでの調査結果をふまえ、楔状欠損の成因を解明するための疫学的調査および生体力学的研究を計画している。下顎隆起に関しては、現代日本人歯科治療患者の上下顎石膏模型(13歳から86歳の男性98個体、女性77個体、合計173個体)、および縄文時代の古人骨標本(15歳から50歳の男性35個体、女性22個体、性別が判定できない個体49個体、合計106個体)を用いて、下顎隆起の出現状況を調べた。その結果、縄文時代人においては全体の88%の個体に下顎隆起がみられ、現代日本人での値(71%)や現代ニューギニア人での値(80%)に比べて、下顎隆起の出現頻度が最も高いことがわかった。また、日本人や現代ニューギニア人においては、下顎隆起は第1小臼歯部に最も多く発現したが、縄文時代人では下顎隆起は第2小臼歯部に最も多く発現した。今後は、太平洋諸州団の上下顎石膏模型および、他の先史時代の人骨資料について下顎隆起の観察を行う。また、これまでの調査結果をふまえ、下顎隆起の成因を解明するための疫学的調査および生体力学的研究を計画している。
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