研究課題
基盤研究(C)
暑熱順化の様相は、一般に繰り返し型暑熱順化と、連続曝露型暑熱順化の二様が知られている。前者は1日に4〜6時間の、暑熱の繰り返し曝露を行った場合で、発汗が早くに起こって体温の上昇が抑えられるという順化で、日本などの温帯地方の夏に現れる、とされている。一方、後者は連続的な暑熱曝露で、発汗量は少なくなるとともに蒸発効率が増加し、核心温が上昇して顕熱放散が増大するという順化で、熱帯地方で現れる、とされている。そこで問題は、日本の夏で暑熱順化がどのように現れるか、を知ることである。研究は、人工気候室を用いた実験によって行われた。暑くも寒くもない、温度25度、相対湿度50%の準備室で被験者は指定着に着替え、センサー類を装着して約1時間滞在して後、温度30度、相対湿度50%の試験室に移動して30分を過ごすという、温度にして+5度の熱負荷を課する実験である。生理反応としては発汗量、耳内温(核心温)、平均皮膚温を測った。心理反応としては暑熱感、不快感、発汗感を調べた。被験者は健康な男子大学生5名であった。実験は2004年の6月から10月にかけて、約50回行った。その結果、5人の被験者に表れた期間の長さに個人差はあっても、5人共通する暑熱順化特性が現れた。それは、6月ごろのまだ暑熱順化が生じていない平常期から、7月ごろの繰り返し型暑熱上昇順化期を経て、8月ごろの真夏の連続曝露型暑熱順化期に達し、やがて9月ごろの繰り返し型暑熱下降順化期を経て、10月ごろの平常期へもどって暑熱順化が消滅する、という一連の変化である。また、繰り返し型暑熱上昇順化期の温度(日最高気温)に比して、繰り返し型暑熱下降順化期の温度(日最高気温)は約2度低いのが特徴であった。
すべて 2005
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日本建築学会研究報告九州支部環境系 第44号・2
ページ: 317-320
ページ: 321-324
ページ: 325-328
日本生理人類学会第53回大会抄録集 (印刷中)
日本建築学会2005年度大会(近畿)学術講演梗概集 環境系D(印刷中)
AIJ-Kyushu Branch Technical Report - Environment Vol.44-2
Summary of the Annual Meeting of the Japan Society of Physiological Anthropology (in printing)
Summary of the Annual Meeting of the AIJ (in printing)