1.これまで、イネRiLIM15遺伝子が体細胞分裂期相同組換えのために、減数分裂期幼穂だけでなく体細胞培養細胞でも特異的に発現することを明らかにしてきたが、同遺伝子の発現は、mRNA in situ hybridization法でも確認された。またRiLIM15の転写産物であるmRNAのcDNAを調べたところ、alternative splicingによると考えられる長さの異なる8種類のcDNAが発見された。これらのことよりRiLIM15タンパクのアミノ酸配列に、フレームシフトによるアミノ酸残基の置換が生じ、それぞれ異なる機能を有しているものと推定される。 2.バーズフット・トレフォイルとアルファルファの属間体細胞融合カルスにおいて、全DNAをBamHIで処理し、pRR217をプローブとしたサザンブロット分析ので、バーズフット・トレフォイルの9本のバンドのうち1本のバンドが欠失し、その部分に9本のアルファルファのうちの1本のバンドが挿入されていた。これは異種間の体細胞染色体組換えによると考えられる。遠縁間でも染色体に相同部分があれば組換えを起こすことを示唆し、育種上重要な手段となりうることを示している。 3.体細胞分裂期相同組換えを含むソマクローナル変異が実際育種に役立つことが証明されているが、イネ品種アキヒカリの再分化体より9世代選抜し、最終的には収量は親品種に劣らず、かつ3〜4日早生で短桿の系統を育成することが出来た。またこの系統は冷害年においても高い収量性を示し親品種より優れていた。
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