研究課題
基盤研究(C)
イネのインド型と日本型間を交雑して稔性ある雑種が得られるようになったので、育種では、その高いヘテロシスの利用が試みられているが、ヘテロシスの遺伝学的基礎は分析されていない。この研究では、インド型と日本型の交雑で得られるヘテロとホモの遺伝子型の効果を比較するために、インド型のと日本型を親として二つの戻し交雑集団(BC_1F_1)、indica/japonica//japonicaおよびindica/japonica//indicaを作成し、SSRを標識として、穀粒形質、苗の形質および植物体老化に関するいくつかの量的遺伝子座(QTL)が見いだし、各QTLにおいて、遺伝子型のこれらの形質に対する効果を分析し、ヘテロシスの遺伝的基礎を解明した。実験の結果、粒形、苗の形質および葉の老化についてそれぞれ、10個、7個および11個のQTLを確認した。各QTLの比較でヘテロ型(Aa)がホモ遺伝子型(AAあるいはaa)より高い値を示すことはなかった。したがって、これらの二つの集団において、測定された形質は、AA>Aa>aaあるいはAA<Aa<aaの線型の関係に従っており、いわゆる超優性(Aa>AA)はないことが示された。各QTLにおける遺伝子型の効果を比較することにより、正の効果はインド型あるいは日本型から寄与されていることが示された。雑種第一代(F_1)においては、ヘテロの遺伝子型における部分優性の効果の累積により、両親よりすぐれた性能が示されるもの考えられた。これまでのヘテロシスの分析では、両親とF1の全体としての比較から、既往の仮説が検定されたが、本研究により、個々の形質に現れるホモとヘテロの遺伝子型の効果が分析され、超優性説が否定されて、今後の実験的研究への道筋が明らかにされた。
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