研究概要 |
砂丘畑において,粉砕して6mmメッシュを通した印刷前新聞紙(以下紙資材)を播種条20cm幅の深さ10cmの土壌に容積比25%,50%,75%,および0%(対照)で混合し,ダイズ(6月15日播種,条間60cm・株間20cm)およびトウモロコシ(6月1日播種,条間75cm・株間25cm)を栽培した.また大麦と小麦についてもガラスハウス内で準じた栽培(12月3〜14日播種)を行った.紙資材を混合した土壌層では,土壌水分が高く,地温についても最高気温が低く,最低気温の高かった.また,紙資材を混合すると,8月においても紙資材混入土壌層のアンモニア態窒素含有量が高かった.なお,これらの効果は,25%,50%混合区では顕著であったが,75%混合区では雨水や潅漑水の下層への浸透が悪くて混合した土壌層から横方向への水の流亡が推察され,大きくなかった. ダイズ,トウモロコシ,および麦類のいずれでも,土壌が乾燥している条件では土壌の水分保持に優れた25%,50%混合の出芽が無処理に比べ優れた.また,ダイズの25%,50%混合区では分枝数,着莢数が多く,収量がやや高かった.そしてこれら区では,降雨が少なくて土壌が乾燥した時期に対照区や75%区に比べ気孔抵抗値が低く,出液量が多く,地表面から10cmまでの土壌層に分布する根量が多かった.しかしトウモロコシでは,これらの関係が明確でなく,75%混合区では根の伸長が阻害され,生育・収量がかえって対照区に劣った,このことから,紙資材土壌混合による根を中心とした生育阻害も考えられ,それが降雨の多い場合や乾燥に強い作物においてより強く現れると推察された.
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