研究概要 |
マメ科作物間で不定根形成能力の大小を比較するとともに,耐湿性との関連を明らかにするために,以下の実験を行った. 1.実験系の確立 Rumex属植物において低酸素環境下での不定根形成能力の大小(発根数と伸長)を検定するために用いられている実験方法を応用し,マメ科作物間の比較にも適用できるかどうかを確認した.ダイズおよびインゲンマメ幼植物を供試し,1/5000aワグネルポットを用い,新規に導入した高照度インキュベーター(グロースチャンバー)中において養液栽培(脱気および非脱気ホーグランド液)を行った.不定根の発生数を経時的に調査するとともに,最終的には地上部重,地下部重および不定根長を調査した.その結果,不定根の形成は脱気条件下で抑制されたが,その程度はダイズに比べ,インゲンマメで大きいことが明らかとなり,本実験法が不定根形成能の検定法として有効であることが確認された. 2.不定根形成能のマメ科作物・種間差異ならびに耐湿性程度との関係 上記の実験法を用い,種々の夏作マメ科作物の不定根形成能を調査した.その結果,不定根の形成能には明らかに種間差が認められ,脱気条件下における不定根形成能の大小は耐湿性程度の大小(望月ら,2000)と関連のあることが示唆された.しかしながら,必ずしも耐湿性程度とは一致しない場合も認められることから,実験方法の検討,あるいは他の要因についての検討が必要と考えられる.
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