スルフォニルウレア系除草剤(SU剤)は日本の水田の90%以上で使用されている。1996年以降、コナギを含めた水田雑草のSU剤に対する抵抗性生物型が日本各地で次々と出現している。コナギはノビエ類と並ぶ水田の主要雑草の一つであるため、コナギのSU剤抵抗性生物型の出現は、SU剤を基本とした水稲の雑草防除体系の根本的な変更をせまるものである。 本研究では、昨年度に引き続き日本国内でのSU剤抵抗性コナギの出現状況を調査した。今年度は新たに千葉県及び静岡県でSU剤抵抗性コナギの出現を確認した。 次に、今年度までに収集したコナギのSU剤抵抗性生物型集団のうち、福島県1集団、茨城県1集団、京都府3集団及び兵庫県1集団について、ベンスルフロンメチル、ピラゾスルフロンエチル及びイマゾスルフロンに対する抵抗性の程度を発根阻害作用によって検定した。その結果、それぞれの集団は3種SU剤に対して抵抗性を示したが、その程度は集団によって異なることを明らかにした。 さらに、前述の抵抗性6集団に感受性集団(京都府3集団及び兵庫県)を加え、RAPD及びAFLPによる集団内の遺伝的多様性を解析するとともに集団間の類縁関係を推定した。その結果、感受性集団においては集団内に遺伝的多様性が認められたのに対し、抵抗性集団においては集団内の遺伝的多様性がまったく認められないか、あるいは、極めて低いことが明らかになった。また、各抵抗性集団は単系統群を形成しなかった。 これらの結果から、供試した抵抗性集団は単一起源ではなく、それぞれ独立に起源したことが強く示唆された。
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