研究課題
スルフォニルウレア系除草剤(SU剤)は日本の水田の60%以上で使用されている。1996年以降、コナギを含めた水田雑草のSU剤に対する抵抗性生物型が日本各地で次々と出現している。コナギはノビエ類と並ぶ水田の主要雑草の一つであるため、コナギのSU剤抵抗性生物型の出現は、SU剤を基本とした水稲の雑草防除体系の根本的な変更をせまるものである。本研究では、昨年度に引き続き日本国内でのSU剤抵抗性コナギの出現状況を調査した。今年度は新たに滋賀県及び山口県でSU剤抵抗性コナギの出現を確認し、コナギの抵抗性生物型の出現を確認した府県は19となった。次に、コナギのSU剤抵抗性集団を、SU剤の通常使用濃度から100倍の濃度までの条件下で育成し、根の伸長を測定したところ、根の伸長量の低下パターンが集団によって異なることを見出した。この差異が何に由来するのか、今後の課題である。また、今年度までに収集したコナギのSU剤抵抗性生物型6集団に感受性4集団を加え、AFLPによる集団内の遺伝的多様性を解析するとともに集団間の類縁関係を推定した。その結果、感受性集団においては集団内に遺伝的多様性が認められたのに対し、抵抗性集団においては集団内の遺伝的多様性がまったく認められないか、あるいは、極めて低いことが明らかになった。また、各抵抗性集団は単系統群を形成しなかった。これらの結果から、供試した抵抗性集団は単一起源ではなく、それぞれ独立に起源したことが強く示唆された。さらに、コナギの開花特性について、出芽時期ごとにイネの生育に伴う光環境を想定した照度下でコナギを育成し、閉鎖花及び開放花の着生状況を調査したところ、出芽時期が早くより光環境の良い条件下では開放花を、その逆の条件下では閉鎖花をより多くつけることを明らかにした。
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The 20th Asian-Pacific Weed Science Society Conference, Abstract
ページ: 67
京都大学農場報告 15
ページ: 66-71
近畿作物・育種研究 51(印刷中)
雑草研究 51(別)(印刷中)