研究課題
基盤研究(C)
スルフォニルウレア系除草剤(SU剤)は、人畜毒性の低い初・中期一発型除草剤として日本の水田において広く使用されている。1990年代後半からSU剤に対して抵抗性を示す水田雑草の生物型が報告され始め、この抵抗性生物型への対応が緊急の課題となっている。本研究では、水田雑草コナギのSU剤抵抗性生物型と感受性生物型を供試し、抵抗性の程度、適応度およびそれらの遺伝的類縁関係を明らかにした。コナギの抵抗性生物型5集団(善王寺、上常吉、舞鶴、牛久および加西B)に対して、ベンスルフロンメチル、イマゾスルフロンおよびピラゾスルフロンエチルを標準使用濃度の1〜100倍までの5段階の濃度で処理し、発根阻害作用を基準に抵抗性の程度を調査した。その結果、善王寺、上常吉、牛久および加西B集団は、3剤すべてに対して標準使用濃度の少なくとも100倍の濃度においても、新根の伸長が認められた。他方、舞鶴集団のイマゾスルフロンに対する抵抗性は、他の4集団と比較して劣っていた。抵抗性生物型と感受性生物型の適応度における差異を明らかにするために、抵抗性生物型5集団と感受性生物型4集団を野外の同一条件下で生育させ、乾物生産量や種子生産数を調査した。すべての調査形質において抵抗性および感受性生物型間に明確な差異は認められず、両生物型間の適応度に差異はないことが推定された。RAPD法を用いて、抵抗性生物型6集団、感受性生物型4集団の遺伝的多様性および遺伝的類縁関係を明らかにした。その結果、感受性生物型では、集団内変異が認められたが、抵抗性生物型の舞鶴集団、上常吉集団、善王寺集団、加西B集団および福島集団では、集団内の変異はまったく認められず、牛久集団に関しても20個体中1個体の1遺伝子座において変異が認められただけであった。また、供試した抵抗性生物型は、それぞれ独立に起源したことが強く示唆された。
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