研究課題/領域番号 |
15580020
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
古谷 勝則 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (10238694)
|
研究分担者 |
小林 達明 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (40178322)
井内 正直 (財)電力中央研究所, 経済社会研究所, 主任研究員 (80371201)
栗原 伸一 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (80292671)
|
キーワード | 二次草原 / 伝統的土地利用 / 景観保全 / 植生遷移 / 景観評価 / 写真投影 / SD法 / AHP法 |
研究概要 |
八ヶ岳中信高原国定公園霧ヶ峰地区を対象として二次草原の植生景観管理の変容を既往文献及び時系列空間データから明らかにすると共に、二次草原における景観的価値の相対的な位置づけ及び景観構成要素の心理的評価を行い、これらを総合的に考察し二次草原の景観保全について論じた。 平成15年までの研究成果で、次の2点が明らかになっている (1)霧ケ峰北端まで採草利用が盛んであった時期は、18世紀末の飢饉を背景に採草量が多くなって以降昭和30年代に役牛馬の必要性が失われるまでであった。(2)放置後の森林化は林縁部が顕著で、1990年以降放置した場合の予測では2028年には霧ヶ峰北部地域の45%が森林に被われ、小規模な森林化を踏まえると森林が二次草原より卓越した景観となることが予想された。 これら結果を、文献調査及びアンケート調査、植生調査から検証し、以下の3点が明らかになった。 (1)生態的価値及び景観的価値が認められるようになったのは、明治末期から第二次世界大戦戦前までの採草利用が盛んな期間であり、この時期から昭和30年代までは生業が多様な生態系や豊かな景観を生み出すといった関係性が成立していたことが明らかになった。 (2)来訪者にとって重要な広がりのある景観、花のある景観はそれぞれでは感動が少ないが、組み合わせることでより大きな感動を得られることが明らかになった。 (3)また、総合的に考察すると二次草原の景観保全には現代の価値観に基づき広い合意形成が必要であるが、採草期の管理方法にならうことが次善の策として有効な手法であることを明らかにした。
|