多くの植物種は、1日の明/暗期比を一定以上にすると生育が抑制され、連続光下では葉が白化する(クロロシス)などの障害が現れる。この原因として、これまでに炭水化物過剰集積が報告され、私たちの以前の研究では活性酸素の関与も示されている。しかし、連続光障害の原因はまだ明らかにされていない。また、連続光下でも障害無く生育する種があるが、その耐性機構や遺伝様式は全く解明されていない。本研究では、ニホンカボチャの連続光耐性および非耐性品種を用い、耐性機構および耐性形質の遺伝様式解明を試みた。 連続光処理に伴う炭水化物濃度の変動を調べた結果、連続光障害の軽減と、葉の炭水化物濃度との間に関連性は認められず、炭水化物集積は障害に直接に関係していないことが示された。連続光処理に伴う活性酸素消去系酵素活性の変動を調べた結果、障害が軽減される条件において活性酸素消去系酵素の一種のSOD活性が速く上昇したことから、活性酸素消去系酵素活性の早期の上昇が障害回避機構の1つであると考えられた。また、活性酸素の一種である過酸化水素濃度と、障害程度との間に関連性は認められず、過酸化水素波度の上昇は障害を引き起こすものではないと考えられた。 連続光耐性形質の遺伝について調べた結果、耐性品種と感受性品種のF_1雑種は、連続光下で障害が発生したが、その程度は感受性品種より軽く、葉のクロロフィル濃度は両親の中間に分布した。正逆交雑間では障害程度に違いは見られず、連続光障害発現形質の遺伝に細胞質は関与していないと考えられた。F_2集団では、感受性品種と同程度の障害から、耐性品種と同程度の耐性を示す個体まで連続的な分布がみられ、連続光耐性に複数の遺伝子が関与していると考えられた。さらに、F_2集団の感受性個体の自殖F_3集団を調べた結果、耐性個体が少数分離し、連続光耐性に劣性遺伝子が関与していることが示唆された。
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