多くの植物種は連続光下では葉に障害が現れるが、障害無く生育する種もあり、その機構はまだ解明されていない。ニホンカボチャは全般に連続光耐性を有するが、同種の‘バターナッツ'は特異的に感受性を持つこと、連続光耐性に活性酸素消去系酵素活性が関与していることがこれまでに明らかになっている。また、連続光耐性品種×感受性品種のF_2世代において、その後代がすべて耐性となる個体と、すべて感受性をとなる個体が見出されている。本研究では、これらの後代F_3集団を供試し、活性酸素種と連続光耐性との関係について考察した。 連続光耐性品種の‘日向14号'、感受性品種‘バターナッツ'、日向14号×バターナッツのF_2世代で見出された耐性個体の後代F_3集団(耐性集団)および感受性個体の後代F_3集団(感受性集団)を供試し、第3葉出葉時に連続光処理を開始した。第3葉のsuperoxide dismutase(SOD)、ascorbate peroxidase(APX)およびcatalase(CAT)活性、ならびに過酸化水素濃度を測定した。 実験の結果、‘バターナッツ'と感受性集団のSOD活性は処理開始80時間後まではほとんど上昇せず、それ以降上昇した。一方、‘日向14号'と耐性集団のSOD活性は連続光処理開始から80〜100時間後まで急速に上昇し、それ以降低下した。処理開始72時間後のAPX活性は品種間に差がなく、CAT活性は'日向14号'が高く、その後も上昇し続けた。過酸化水素濃度は、‘バターナッツ'、感受性集団ともに連続光処理下で高かったが、‘日向14号'と耐性集団では、12時間明暗サイクル下と同様であった。以上の結果、連続光耐性はSODやCATの活性を急速に上昇させる能力と関連し、SOD活性は葉展開時に上昇した後に低下するが、CAT活性は上昇し続けることで活性酸素種の増加を抑制していると考えられた。
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